レース2:山﨑と辻子のAmペアが鈴鹿で新たなチャンピオンシップ史を作る

レース2:山﨑と辻子のAmペアが鈴鹿で新たなチャンピオンシップ史を作る

>  4度のセーフティー・カー投入を受け、NSXのComet Racingが予想を超えた勝利を手中におさめる
> Team GMBの波多野・細川がGT4の混乱を制す
> リザルト:鈴鹿 レース2

本日の鈴鹿でFanatec GT World Challenge Asia Powered by AWSの新たな歴史が作られた。Comet Racingの山﨑裕介と辻子依旦が、Amチームとしては初参加にしていきなり初勝利を飾り、ホンダにとってもシリーズ初勝利となった。

60分間でセーフティー・カーが4度も投入される展開で、一度はピット・ウィンドー中に、さらにレース最終盤に訪れる中、百戦錬磨のフロント・ランナーたちには不運な結末となったが、GT3クラスの全16チームの中で一番遅かったチームに勝利の雫が溢れ落ちた。そのおかげで彼らは Fanatec Japan Cup優勝という最高の栄誉に輝いた。

最後の中断のため、プリンス・ジェフリ・イブラヒムはNSXへの追撃の手を緩めざるを得なかったが、彼とTriple Eight JMRのコー・ドライバーであるニック・フォスターはドライバー・チャンピオンシップのアドバンテージを利して総合2位に入り、さらにPro-Amクラスで優勝を飾った。BMW Team Studieの山口智英と荒聖治も表彰台に上がった。

その正反対で、GT4はスタート時と同じような状態のまま、Team GMBのポール・ウィンもあって、波多野宏明と細川慎弥のペアが最上段に上った。彼らのメルセデス-AMGはずっとレースを支配し、3度目のセーフティー・カーが投入された際にさらに1周稼ぐ位置につけていた。

Koshido Racingの佐藤元春と平中克幸も2番手のスタートをフィニッシュまでキープし、ブライアン・リーと安岡秀人(GTO Racing Team)は今週末2度目の表彰台フィニッシュを勝ち取った。


AMSのCOMETが星に向かって撃て

2度に亘るセーフティー・カー投入が10分ウィンドーの前後に発生したおかげで、短くはなったものの、手に汗握る刺激的な1時間と相なった。

土曜(のレース)のスター・パフォーマーとなったケイ・コッツォリーノは、本当のところはポール・ポジションのアドバンテージを活かしながらクリーンなスタートを切りつつ、CarGuy Racingの15秒のサクセス・ペナルティーを少しでも解消できればと期待していたはずだったが、結果的にそうはならなかった。その代わり、サンディー・ストゥヴィックが130Rでコントロールを失ったことが原因で、BMW Team StudieのM2 CSRは動かなくなり、コース外のトラックサイド・バリアもあって、フェラーリの絶好のチャンスを阻む中断を2度も迎えてしまった。

2度目のセーフティー・カーは25分後にピット・ウィンドーが開く直前に起きた。その瞬間は、コッツォリーノ、フォスター、荒が率いるGT3のランナーの大半が、ピット・エントリーを過ぎたあたりに訪れたものの、その時点13位と15位だったが、それもこれもベン・ポーターやAmクラスのライバルである辻子が最終コーナーにたどり着く前のことだった。双方ともにピット入りし、ドライバー・チェンジを完了し、セーフティー・カーが引き上げると同時に、同じラップで再開し、効果的な‘フリー’ピットストップをうまく譲り受けた。

ところが、リーダーたちがピット入りするまでそうした状況がはっきりすることもなかった。コッツォリーノは最初の来たるべきチャンスで入ったが、フォスターや荒はウィンドーのギリギリまで粘った。フェラーリのサクセス・ペナルティーのおかげで順位を下げることになったものの、イブラヒムと山口が二人とも、新たなレース・リーダーの山﨑と、ポーターのAMACのコー・ドライバーであるアンドリュー・マクファーソンのやや後方に現れたのを見て誰もが驚くことに。

彼らが追随する者たちに追いつかれるかどうかは、Triple Eight JMRのもう一台のメルセデス-AMGを操縦するプリンス・アブ・イブラヒムと、AAS Motorsportsのカンタディー・クシリとがスプーンに差し掛かる前で絡み合い、その結果、さらにPorsche Center Okazakiの永井宏明とGT4ドライバーの鈴木祐子(CREF Motor Sport)の接触を招いてしまう。

山﨑は、余すところ11分のタイミングで、3度目のセーフティー・カーが引き上げた際、自分とマクファーソンとの間にあったGT4車両の流れの恩恵を受けた。オーストラリア人は、ターン1に入ったところですぐにイブラヒムに抜かれてしまい、そのすぐ後に、GT4の渋滞が同じラップの半分くらいのところで、追いかけるGT3勢が詰まってきたことで、山口、マクファーソン、星野聡が3車横並びでスプーンに向かって入っていった。後者がわずかにワイドに流れると、芝に片側二輪を落とした状態で、D’Stationのアストン・マーチンがスピン。そのままTeam Scalaのメルセデス-AMGに向かって後ろ向きに突っ込んでいった。

1時間が満了する前にリカバリーできる状態になく、レース・コントロールは代わりに、山﨑がチェッカー・フラッグを受けられるように、最終ラップの終わりにセーフティー・カーを下げる判断を下した。

幸運にも星野に取り込まれなかったイブラヒムと山口は、濱口弘と、Reap Fueling Ambitionsのランボルギーニに乗る大蔵峰樹の前で、フィニッシュラインを越えた。後者は14位だったが、セーフティー・カーの状態もあり、ウィンドーが開いたタイミングでピットに入ることができなかった。

CarGuyは、星野が木村武史との接触事故を回避できたおかげで、サクセス・ペナルティーがあったにも拘らず、5位でフィニッシュすることができた。彼はチーム・ピットストップから復活して10位に入り、2度セーフティー・カーが入ってもその前に稼ぐことができた。

AMACはトップ6に入りはしたが後悔することは間違いないだろう。ABSSAの小泉洋史と澤圭太は7位で終え、AAS Motorsportのポルシェはイブラヒムとの早い段階での接触からリカバーし、かたやTriple Eightのドライバーはペナルティーを受け、8位で終了した。

GT4では、最後から2番目のセーフティー・カーが残りのドライバーたちよりもTeam GMBのメルセデス-AMGに1ラップのアドバンテージがあったにも拘らず、それでも波多野宏明と細川慎弥がホーム勝利に相応しい勝ちを手に入れた。

細川は当初、ポール(・ポジション)のアドバンテージを早い段階でリードに換えたが、Koshido Racingがスタートの早かった安岡秀人から2位のポジションを奪い返した後、それでも平中克幸にピッタリとつかれていた。

GT3のAm車のように、GT4のフィールドは、まだセーフティー・カーの状況下にある間、ピットに入れるくらい十分後方にいたので、ピット・クルーや土曜のレースから持ち越したサクセス・ペナルティーがトラック・ポジションに影響することを保証した。GMBのハンディキャップ・フリーのストップは、波多野がKoshido Racingの前でレースに戻ったブライアン・リーからリードを守れることを意味していた。

ところが佐藤元春のスープラと、昨日のレースの勝者である田代純は、次のセーフティー・カーのタイミングでGMBにラップ・アドバンテージを与えた際に2位と3位につけていた。代わりに、2人はTeam Scalaのメルセデス-AMGが、くるくるとスピンする星野のGT3クラスのアストン・マーチンの犠牲になるまで、準優勝のスポットに入り込むことを狙っていた。

それ故に、リーとそのGTOは、Koshidoの佐藤の後ろで、Amクラスを勝ち取った大山正芳と植田正幸が乗るAkiland Racingのトヨタの前で終え、クラス3位にくい込んだ。

Fanatec GT World Challenge Asia Powered by AWS、及びFanatec Japan Cupはこの先、富士へ移動し、次週末の2022キャンペーンの第5、第6ラウンドを開催する。