レース2:SUGOで素晴らしいエンディングを演出した星野と藤井が日本で勝利を飾る

レース2:SUGOで素晴らしいエンディングを演出した星野と藤井が日本で勝利を飾る

> D’stationのアストン・マーチンがCarGuyの思い違いで漁夫の利を得る
> Akilandの大山と植田が初のGT4 勝利
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本日のスポーツランドSUGOでは、レース・リーダーとして長く君臨してきたCarGuy Racingが最後から2周目に22秒遅れとなる予想外の展開で、D’station Racingの星野聡と藤井誠暢が初めてFanatec GT World Challenge Asia Powered by AWSで優勝した。

フェラーリのタイヤ・トラブルによって木村武史が遅れをとったものの、それでも1位でチェッカー・フラッグを受ける余裕は十分に残っていた。ところが、なんとその後にフィニッシュ・ラインの位置を見誤った彼は、急ピッチで追い上げるアストン・マーチンと、山口智英と荒聖治の乗るPlus with BMW Team StudieのM4にわずか数メートル差でオーバーテイクを許してしまう。しかもそんな3組のタイム差は1秒にも満たない。

実際、最終コーナーを出る段階でBMWはヴァンテージの前を走っていたものの、速度を落としたフェラーリについ反応してブレーキを踏んでしまい、そのタイミングで3位につけていた星野はチェッカー・フラッグ目前のところ、一気に前へと抜けた。

順位を落としたことで、1ラウンドを残した木村とペア・ドライバーのコッツォリーノはFanatec Japan CupのGT3タイトルを獲得して終えることはできなかった。その上#777のクルーは、今度は岡山へ向かうことになるわけだが、最後から2周目の最終コーナーでスピンし、4位から10位まで順位を落としたTriple Eight JMRのニック・フォスターとプリンス・ジェフリ・イブラヒムと同率タイで並ぶことになった。

さらに後方ではAkiland Racingの植田正幸と大山正芳がGT4の母国優勝を飾り、後者はFanatec Japan Cup Amクラスのタイトルも獲得。トヨタGRスープラが前日優勝したGTO Racing Teamのブライアン・リーと安岡秀人に競り勝ち、ピットストップの前にリードしていたTeam GMBの波多野宏明と細川慎弥が表彰台を決めた。


CARGUYにとって、あまりに近くあまりに遠い

今回のレースはCarGuy Racingが優勝するはずだった。しかも昨日のフェラーリは2位でフィニッシュしたおかげで、ピットストップでの10秒サクセス・ペナルティーを課された。

ポールからスタートを切ったコッツォリーノは、木村が出走する前に、彼が追随するグループに22秒差をつけるほど素晴らしい走りを見せた。その頃には彼と他のAmドライバーたちがスピードを上げ、リードはわずか4秒差まで縮められた。

そんなわけで追いかける者たちは488を捕らえるのが現実的でないと判断。その代わり、2位を賭けた盛大な戦いに照準を合わせた。リード・ハーカーが乗るEBM Giga Racingのポルシェは、ピットストップ目前に荒聖治を2位から引きずり下ろし、藤井が乗るD’stationのアストン・マーチンも、3組一緒にピット入りする前の1周でBMWの前へとすり抜けることに。

ポルシェはその後もじりじりと後退していったものの、ピット入りする前にTriple Eight JMRのメルセデス-AMGを競争へ飲みこんだフォスターのおかげで、3“車”三つ巴の様相を呈した。その結果、イブラヒムは2位に入ったものの、山﨑に交代したBMWと星野が乗るヴァンテージの鼻差でリードしている程度だった。

山﨑も最初はイブラヒムより速かったとは言え、そんなメルセデス-AMGのドライバーとして、追随する2人に屈するまでは堅牢な守りを展開してみせた。それでも、最後から2周目という展開の最後にコントロールを失い、最終コーナーのバリアにスピンして突っ込んだBMWのペースが落ちるまで、3者はファイナル・ラップまでノーズ・トゥ・テールの拮抗した展開を見せた。

前方では木村も大きくペースを下げていた。最初は後方の戦いで、タイヤ・トラブルのために最後から2周目に11秒の遅れをとるまで、再び22秒のリードを作ることに成功した。トラック上を横滑りしながら動けなくなったメルセデス-AMGを目の当たりにして余計に慎重になっていた彼は一瞬車を止めてしまうと、なぜ日本人ドライバーが喜びのヘッドライトを点滅させながらも、ゆっくりとチェッカー・フラッグを切った理由についてのまともな説明はなかった。レース後には自身の過ちを認める謙虚さを持ち併せていたが、そのおかげで10ポイントのチャンピオンシップ・リードを保った状態で岡山のシーズン・フィナーレへと向かえなかったこともまた事実である。

彼が速度を落としたおかげで、勝てるはずだった山口も注意を削がれ、つい反応してブレーキを踏んでしまったことによりTeam Studieにとって史上初のFanatec GT World Challenge Asia GT3の勝利を逃してしまうことに。

プリンス・アブ・イブラヒムとジャズマン・ジャファーは、後者がピットストップに入る前に、Yogibo Racingのフェラーリとフォスターとの滑稽なやりとりを楽しんだ後、 Triple Eight JMRのチームメイトの事故にあやかって4位に入った。

AAS Motorsportのカンタディー・クシリとタナート・サティエンティラクルは総合で5位、唯一のライバルであり、昨日の勝者の横溝直輝と藤波清斗が最終コーナーでGT4カーと接触してホイールに損傷を負ったおかげでシルバーの1位になった。

ハーカーとセティアワン・サントソを擁する2台目のEBMポルシェは、Amクラスの勝者の濱口弘と大倉峰樹(Reap Fuelingのホープ)の前に出て6位入賞した。

次は9月23-25日。Fanatec GT World Challenge Asia及び、Fanatec Japan Cupのシーズン・フィナーレの舞台となる岡山へ戦いの場を移す。