レース2:ドラマティックな岡山のフィナーレ、D’stationが完璧な勝利を飾るも、タイトルは木村・コッツォリーノ組に

レース2:ドラマティックな岡山のフィナーレ、D’stationが完璧な勝利を飾るも、タイトルは木村・コッツォリーノ組に

> CarGuyのフェラーリが1周目のアクシデント後を乗り越え、Triple Eight JMRのイブラヒム・フォスター組を破る
> GT4ではGTO Racingのリーと安岡が0.001秒という僅差でチャンピオンに
> レース2のリザルト  | GT3スタンディング | GT4スタンディング

D’station Racingの星野聡と藤井誠暢がポールポジションから全周でリードをキープし、岡山でのファーステストラップも記録し、これまで3戦で2勝目を挙げた。しかしタイトルライバルのニック・フォスターとの1周目の接触を乗り越えた木村武史・ケイ・コッツォリーノ 組(CarGuy Racing、フェラーリ)が3ポイント差で2022年のFanatec GT World Challenge Asia Powered by AWS総合チャンピオンに確定した。

GTO Racing Teamのブライアン・リーと安岡秀人が予想どおりGT4チャンピオンシップを決め、同時にTeam GMBの波多野宏明と細川慎弥を抑えて0.001秒という僅差でチェッカーフラッグを受け、決勝レース2も制した。

PLUS with BMW Team Studieの山口智英と荒聖治がレースウィナーとなったアストンマーティンに1.2秒差で2位。3位には2番手と6秒差の永井宏明と上村優太(ポルシェセンター岡崎)が入り、今季最後のポディウムを飾った。

シルバークラスのウィナーはタナート・サティエンティラクルとカンタディー・クシリ(AASモータースポーツ)、Amカテゴリーは濱口弘と大倉峰樹が優勝した。しかしReap Fueling Ambitions クルーのパフォーマンスはタイトルを獲るには不十分であり、Team Uematsuの内田雄大と植松忠雄がFanatec Japan Cup Amクラスのチャンピオンとなった。

Triple Eight JMRは総合ドライバーズタイトルを獲得することは叶わなかったが、フォスターとプリンス・ジェフリー・イブラヒムの落胆はGT3 Pro-Amの王冠を獲得し、チームズタイトルを獲ったことによって僅かに緩和された。


CARGUYがリカバリーの末、勝利の栄冠を手に

シーズンフィナーレとなった岡山における最終戦は、2つの異なる戦いが行われたレースとして後世に残るだろう。失うものは何もないチーム同士の総合タイトルを賭けてのバトル、そして始まったばかりですぐに終わってしまったかのごとく見えた戦いが展開された。

その後にドラマティックな展開が起こったため見落とされるかもしれないのが、D’station Racingの優れたパフォーマンスだ。藤井は予選でライバルたちより0.3秒速く、決勝レース2では第1コーナーで後方からの攻撃をかわすと、ファーステストラップを出して3.3秒のリードを築き、ドライバーチェンジに臨んだ。

前回の菅生でのイベントはアストンマーティンが混乱の中で優勝を飾ったが、今回の岡山大会では、僅差となった最終リザルトでは計り知れない程、レース中盤では星野がPLUS with BMW Team Studie に対してリードを広げる展開になった。

日曜日の決勝レースで3番手スタートとなった荒・山口組は他のトップランナーに対してサクセスペナルティが課せられたため、2位でフィニッシュする可能性が高かった。しかしそれはレース開始後2コーナーのみを走った時点でCarGuyのタイトル争いを台無しにする可能性のあった接触事故を考慮に入れていない状況でのことだった。

見事な攻めでフォスターが第1コーナーのアウト側から藤井のアストンマーティンに挑んだ。しかしメルセデス-AMGはアウト側に逸れ、その結果、コッツォリーノがイン側に攻め込むことができた。その後、荒を加えた3台が併走する形になり、フォスターがウィリアムズコーナーでコッツォリーノに攻め寄り、その結果フェラーリはスピンし、バリアに当たり、セーフティーカーが出動した。

コッツォリーノは短いピットストップ後、周回遅れでレースに戻ることに成功した。しかしフォスターが荒、上村、ジャズマン・ジャファーとリード・ハーカーを従えて2番手で走り続けたため、CarGuyのチャンピオンシップタイトル獲得のチャンスは危うい状況になった。

レース開始後20分間、その順位は変わらなかったが、審査委員会は接触を引き起こし、不公平なアドバンテージを得たとして、フォスターに100秒のストップ・アンド・ゴーペナルティを与えた。

Triple Eight JMRはすぐにストップ・アンド・ゴーを行ったが、まだ周回遅れでポイント圏外だったコッツォリーノの後方についた。この時点でアドバンテージはスタート前にフォスターとイブラヒムに対して3ポイントのリードがあったCarGuy側に戻った。

失われたタイムと、CarGuyに10秒、Triple Eight JMRに5秒課せられていたサクセスペナルティによって、巻き返しの可能性は低かった。しかしピットストップ後、イブラヒムは木村に対してベストを尽くして挽回を試みた。2人は最終的に12位と13位でフィニッシュした。

トップ勢の戦いに話を戻すと、レース序盤では、星野が永井の追撃をかわし、2番手を守る山口に対するリードを広げた。しかしこの2番手争いはバトルには展開せず、ポルシェを駆る永井が4番手を走るジャファーのチームメイト、プリンス・アブ・イブラヒムの猛追をフィニッシュまで懸命に抑える結果となった。

最終レースで数字上、総合優勝の可能性を残したYogibo Racing のフェラーリをサティエンティラクルとクシリが破り、シルバークラス優勝を獲得した。

Amクラスのウィナー、濱口と大倉が総合7位という優れた成績を収め、EBM Giga Racingのセティアワン・サントソとハーカーがトップ8を締めくくった。


リーと安岡がGT4クラス優勝でタイトルを獲得

最長となる15秒のサクセスペナルティが課せられても、誰もリーと安岡の岡山における2勝目を阻止することができず、クルーはGT4カテゴリータイトルを見事に獲得した。GTO Racingのクルーがチャンピオンに輝くためにはフィニッシュするだけで十分だったが、ピットストップ後のリーの反撃のおかげで彼らは期待以上の結果を残すことに成功した。

タイトル争いのライバル、ポールポジションの細川がレース前半をリードしたが、直後にピットストップを行った安岡が追撃を続けていた。Mercedes-AMGのサクセスペナルティによってタイム差は広がったが、リーは一時的に10秒差に広がったロスを徐々に取り戻した。

しかし波多野を追い越すことができたのはレースの最終数メートルで、フィニッシュラインでTeam GMBのマシンを僅差でかわすことに成功した。あまりに僅差だったので、チャンピオンシップ主催者もその差に気付かず、表彰台で間違ってウィナートロフィーを細川と波多野に与えた程だった!

Akiland Racing のトヨタを駆る大山正芳と植田正幸がカテゴリー3位に入り、表彰台を飾った。

チームGMBは総合タイトルこそ逃したが、Fanatec Japan Cup のGT4ドライバーズタイトルを獲得した。